本日は、ノーベル経済学賞を受賞したハート氏、ホルムストロム氏の「契約理論」についてみていきたいと思います。10月18日の日経新聞の経済教室にて東大の柳川先生が寄稿しておりますので、それを引用したします。
『企業内では単なる取引ではなく、雇用契約が重要な役割を果たしている。こうした契約が交わされるのは、できるなら支払いをせずに物を受け取りたい、あるいはあまり努力せずに給料を得たいというように、当時者間で潜在的な利害対立があり、それを契約で調整する必要があるからだ。特に従業員がどの程度実際に怠けているのかがわからない、個々の能力が十分に分からないなど、いわゆる情報の非対称性が存在する場合には、そこから生じる問題点を、契約を工夫することにより解決あるいは軽減する必要性も生じる。ホルムストロム教授はエレガントな形で、こうした雇用契約の問題での最適な契約を導き出した。』
雇用契約が以前とかわってきているなあと感じることがあります。
正社員での契約の場合は、「試用期間3カ月」というのが今まで多かったと思いますが、試用期間ではなく、まずは3ヶ月の契約社員としてはいってもらい、その後更新をして、1年後に正社員に登用するというパターンも増えてきております。
また、派遣で働いている方が顕著です。数年前までは3ヶ月更新が多かったのですが、最近では1ヶ月更新が増えてきているように思います。派遣の場合良く起こることが「この人は大丈夫です」ということです。派遣会社さんはとにかく誰かを派遣しなければならないので、その人がどのようなスキルをもっているかあまり把握をしていない場合であっても「大丈夫です」と言わなければ仕事として成り立ちません。企業側としても「大丈夫」と言われたのだから安心して仕事をやってもらえるだろうと思っているのですが、実際には期待はずれに終わってしまうことを経験しております。
これらには、情報の非対称性が存在しているからでしょう。大丈夫だと思っても実際に働いてもらわなくてはそれが分からないから、正社員ですぐに雇用せずに契約社員として契約したり、また3ヶ月更新ではなく、1ヶ月更新というような契約の工夫が生じるのでしょう。
派遣は別としまして、日本の場合は、解雇がしづらいのがこれに輪をかけているのでしょう。解雇が緩和されれば、非正規社員の問題も解決するかもしれないと何かの記事に出ておりましたが、これも契約の工夫ということになります。
ノーベル経済学賞で話題になったからこそ、上記の例が理論的にも裏付けられました。まだまだ勉強不足です。さらに精進いたします!!
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