本日は、人事の経済学について、「キャリアデザイン支援ハンドブック」からみていきたいと思います。
P51の「情報の非対称とインセンティブシステムとしての報酬」という項目で、採用に関連することを記載しておりますので、以下に引用します。
企業は労働者の多くの側面に関して十分な情報を入手できない。まず、労働者が保持している技術や能力に関する情報である。自分がどのような仕事をどの程度できるかを労働者は知っているが、企業は簡単には把握できない。労働者から提供される情報をどの程度信用していいのか分からない。一つの問題は、労働者から常に正しい報告がなされるとは限らないからである。往々にして、労働者は自分を高く売るために虚偽の申告を行う。一方、企業はそのような行動に対処するために、間接的な情報や仕事ぶりを観察し能力や技能を推測することになるが、それでも完全に情報を補えない。たとえば、能力の指標として学歴や過去の仕事経験を利用するが、それらも個々の労働者の特性を完全に説明できない。また、仕事ぶりの観察を通じても、能力や技術を完全に測定することは難しい。仕事の成果は、本人の能力や技術以外に職場環境や用いた機械や道具の状態や一緒に働いている職場の同僚たちの能力や働き方にも依存するからである。
少し引用が長くなりましたが、採用活動(就職活動)にも当てはまると思いましたので、次のようにまとめてみました。採用活動では、情報の非対称性が起こり、応募者は自分のことを良く見せようと自己PRを書きますが、採用側はどの程度信用して良いか分からないということです。つまり、あまり信用していないということでしょうか。
パソコンの資格をつい最近取得したにも関わらず、採用試験時にパソコンのスキルチェックを行うのはそのためでしょうか。
裏を返せば、信用してもらうように、色々と情報を提供することが必要だと思います。具体的な仕事のやり方、取り組み姿勢を伝えるだけでもイメージがつくとおもいます。この点をしっかりとされていない方がまだまだ多いと思いますので、私どもの就職支援ではこの点を強調しております。
「人事の経済学」はなかなか興味深いです。
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