アイデンティティの生涯発達論10_第168号

本日も岡本祐子先生の「アイデンティティ生涯発達論の射程」から引用いたします。第6章第2節では「中年期のアイデンティティ危機をキャリア発達にどう生かすか」というタイトルです。P190には、中年期の否定的な変化の体験を以下のようにまとめております。


1.以前に比べて、健康に対する関心が増してきた。

2.私は、もう若くないと感じる。

3.疲労回復が遅い、酒に弱くなった、睡眠不足がこたえるなど、老化や体力の衰えを感じる。

4.私の年齢から考えると、何か新しいことを始めたり、チャレンジするにはもう遅すぎると感じる。

5.これから将来、自分が元気で働ける年月・時間には限りがあると感じる。

6.近親者や友人・知人の死によって、自分の寿命はあと何年くらいかと考えることがある。

7.以前のように仕事に集中できないし、あまり意欲もわかない。

8.これから将来、自分のできる仕事・業績や出世などに限界を感じる。

9.いろいろなことに対して消極的になった。現状を維持できれば、それで良いとおもってしまう。

10.自分の老いゆく姿や死について関心が増してきた。


そして、『このような否定的な体験を契機として、自己の生き方、あり方を振り返り、より納得できる生き方を見出すならば、中年期はさらなる発達のチャンスとなるのである。』とも述べております。

さらに、中年期職業人のアイデンティティ様態として、積極的関与と自分らしい生き方・働き方への模索の軸を設け、活路獲得型、現状維持・保守型、模索・探求型、漂流型の4つに分けております。


P193では、中年期はライフサイクルの中で大きな転換期であるとして、つぎのように述べております。

『このプロセスのなかで体験される中心的テーマは、「自己の有限性の自覚」であり、そこで行われる重要な心の作業は、自己の有限性を受容し、人生後半期へ向けて納得できる生き方を構築していくことである。そのプロセスの中で、自分の仕事に対する取り組みを見直す人も多い。中年期の危機をバネにキャリアをさらに発達させていくには、仕事へのかかわりの質の転換と、個としての有能性から他者に対する有能性への価値観・職業観の転換が重要であろう。』


そして最後に次のように述べております。

『主体性のある自律/自立した個人であること、つまりアイデンティティ達成者であることは、成人期を通じてキャリア発達の基盤である。加えて、中年期以降の人生後半期へ向けてのキャリア発達を考えるとき、自己の内的統合性とバランスが重要な意味を持っていると考えられる。』

自己の内的統合性とは、自分の人生に対して理想と現実とで「なんとか折り合いをつける」ことであります。また、職業を含む現在の自分の生き方や生活のバランスをとることが重要であります。



キャリKobaの一日一考

キャリアコンサルタントおよび経営者でもあるKobaが本やニュース等から得られたことを書かせていただいております。

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