本日は、「社会構成主義キャリア・カウンセリングの理論と実践」からみていきたいと思います。P38にBlusteinの研究チームの研究(Blustein,Chaves,Diemer,Gallaghr,Marshall, Sirin&Bhati.2002)について触れておりますので、それを引用したいと思います。
この章を担当している下村先生はこの研究を「何度か別の機会に紹介しているが、重要な研究なので改めて紹介したい」ということから、かなり良い研究ではないかと推察されます。今後、原著をあたりたいと思います。
『まずこの研究の重要性は、従来、キャリア心理学では十分に重視されてこなかった社会経済的な要因に直接的な関心がむけられた点にある。』
「社会経済的な要因」がポイントのようであります。
貧しい階層出身の若者
中下位の社会階層の若者
富裕な社会階層の若者
の3つにわけて下記のように論じております。
『貧しい階層出身の若者は、仕事を生活のために必要な金を稼ぐためのものとしてみる傾向が強い』
『中下位の社会階層の若者(「忘れられた半分(forgotten half)」)は、家族や親せきなどの情報ネットワークが限定的であり、そのため、社会経済的なリソースが十分ではない』
『富裕な社会階層の若者は、従来のキャリア発達理論が想定するように、自分の仕事を自分の興味や関心を実現させ、仕事によって自己実現や自己表現を図りたいと発言をすることが多かった』
日本でも貧困が社会問題化され始めておりますが、上記の研究は下村先生がおっしゃっているように示唆に富む内容になっていると思います。
中下位の社会階層の若者では、「家族や親せきなどの情報ネットワークが限定的であり」と書かれておりましたが、これは、「弱い紐帯」とも関係しているのではないかと思いました。この点は少し調べていきたいと思います。
また、下村先生はこの節での最後に大切なことを述べておりますので、それについては、次回に回したいと思います。
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