職業訓練指導員(講師)の6つの役割の1つ目をみていきたいと思います。
「十訂版 職業訓練における 指導の理論と実際」には、
「第1は、訓練を実施する役割である。」
と記載されております。
続けて「訓練を実施するということは、単に市販の教科書の内容や先輩が作成した指導案に沿って授業を実施することではない。訓練の実施とは、訓練生や訓練生が所属する組織の問題解決に必要な能力を習得するために、訓練生自身が学習できる環境を提供することである。つまり、訓練生が抱えている就職への期待や悩み、職場での問題、能力向上への期待等の問題に対して、それを解決するという確信の下に指導員が取捨選択し、学習しやすいように計画した訓練内容を、訓練に参加している誰もが学習し習得できる形で提供する場面なのである。」と記載されております。
要約すると「訓練を実施する役割とは、訓練生の問題を解決できるように、誰もが学習し習得できる環境を整える」ということになると思います。
この「習得できる環境」を、「習得させるためには、手とり足とり、さらには時間外でも教える」という方もいると思うのですが、これは少し間違っていると思います。
このやり方をしてしまいますと、「何かあれば必ず誰かが手とり足とり教えてくれる」ということを学習してしまい、それがその人のスタンダード(基準)になってしまいます。つまり、自分から主体的に取り組むことができなくなってしまいます。
離職者訓練は、離職された方を労働市場に戻すことが目的です。仕事の場面を想定しながら、主体的に動くことを学習してもらうことはとても重要です。
満足度を得るためだけに「甘い顔」をし「(表面的に)良い先生」になるのではなく、時には厳しさも必要だと思います。
0コメント