職業訓練指導員(講師)の6つの役割をみてきましたが、引き続き「十訂版 職業訓練における 指導の理論と実際」から、この6つの役割を果たすための5つの資質についてみていきたいと思います。
5つの資質とは下記のとおりとなります。
1.職場に適用できる専門分野の能力
2.指導能力
3.職業人としての態度
4.社会的な背景に対する洞察と使命感
5.訓練生の信頼を得る能力
今日は、1つ目の「職場に適用できる専門分野の能力」を見ていきたいと思います。
「指導員(講師)は、担当する訓練科や職種に関する豊富な知識と高い技能を持っていなければならない。」として、その理由を2つあげている。
「第1に、実際の職場に適用できる専門分野の能力を身につけることである。訓練生に習得させる能力は教科書的な知識ではなく、それらを実際の職場に適用する能力だからである。」
これは、前にも触れましたが「学習の転移」のことだと思います。パソコンのコースであれば、資格を取得したからといって、実際の職場でデータ分析ができなければ意味がありません。簿記のコースであれば、日商簿記2級を取得したけど、キャッシュフローのことを理解できていない、会計ソフトが使用できなければ意味がありません。
続けて「第2は、これらの専門分野のの力を合理的に説明することである。訓練生が学習に困難を感じているとき、何に苦労しているのかを見抜いて適切な学習方法を提示しなければならない。」と記載されております。
ただテキストに沿って教えるだけではなく、随時ミニテスト(形成的評価)を行い、進捗度、理解度を確認する必要があります。学習に困難を感じている場合、しっかりとフォローをする必要はありますが、手とり足とりしすぎるのも良くないと思います。
適切な学習方法を提示するとは、手とり足とり教えて理解させるのではなく、どのように学習をすればよいかを提示することです。
困ったときに、誰かが手とり足とり教えてくれるということを学習させるのではなく、困ったときでも、自分一人で解決できる力を養わせることが訓練であろうかと思います。
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