経済学と心理学のアプローチの狭間2

 昨日に続き、大野(2014)の研究についてみていきます。

 大野(2014)は、離職の説明を経済学と心理学の両方から捉えることを試みております。

 経済学に比較優位である賃金や誘因システムと組織心理学で議論される諸変数をあわせた次の4つのモデルを提示して、離職モデルの融合を分析しました。

 経済学モデル(認知誘因)、職務満足モデル、融合モデル(上司コミットメント)、コミットメントモデル(組織コミットメント)

 その結果、職務満足と上司コミットメントは組織コミットメントを醸成する効果を有することから、社会的交換の枠組みで捉える方が適切である。また、誘因認知は組織コミットメントとは負の関係があることから、離職には別ルート、すなわち経済的交換として効力がもつことが明らかになった。職務満足が社会的交換の性質をもつことは、マッチング理論の検証として職務満足を用いることに一定の注意が必要であることを示唆している。

 

【まとめ】

 職務満足と上司コミットメントは社会的交換の枠組み → 組織心理学の視点

 認知誘因は経済的交換の枠組み → 経済学の視点

 職務満足が社会的交換(組織心理学)の性質をもつため、マッチング理論の検証(経済学)には注意が必要である。


【感想】

 このような分析をみると「なるほど!」と唸ってしまいますが、いざ自分がやるとなると難しいと思います。しかしやらねばなりません。

 私の研究も、経済学と心理学の狭間になると思いますが、もう少し詳細に分類すると「労働経済学」と「生涯発達心理学・キャリア心理学」となります。

 経済学は、合理的に判断することになりますが、そのためには心理的な面(心理学)が含まれるような気がします。人はときとして、不合理な判断もしてしまいます・・・

 そうなると「行動経済学」にもなってきてしまいます・・・

 職業訓練を行動経済学で説明するには・・・

 こんな感じでしばらくは進めていきたいと思います。




キャリKobaの一日一考

キャリアコンサルタントおよび経営者でもあるKobaが本やニュース等から得られたことを書かせていただいております。

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