モラル・ハザードとは

モラル・ハザードということば、どのように使用していますか?

もともとは保険の用語だそうです。以下「ゲーム理論・入門」P187~P188を引用いたします。

「自動車保険や火災保険に加入した人が、保険に入ることでかえって事故が起きる頻度が高まる。」ということらしいです。

「モラル・ハザードのもう1つの例として、プリンシパル=エージェント問題がある。研究開発などのプロジェクトの成功は、プロジェクトに関わる労働者(エージェント)の努力水準に依存するが、労働者は、努力にはコストがかかり、同じ賃金をもらえるなら努力水準は低くしたいと思っている。また、経営者(プリンシパル)にとって労働者の努力水準は観察可能でないため、高い努力水準を発揮した労働者に対して高い賃金を支払うことができない可能性がある。このとき、労働者の努力水準は低くなりプロジェクトは失敗してしまう。このことを考慮すると、経営者はプロジェクトの実行を中止することになり、経営者と労働者の双方にとって望ましくない結果が生じてしまう。」

この2つをモラル・ハザードというのですが、私が関係している雇用保険の失業給付にあてはめてモラル・ハザードを見てみるとどうなるでしょうか。


「働く気がないのに職業訓練を受講するなんて、受給目的ではないか?」


これは、倫理の問題(本人の問題)ではなく、制度の問題であるとのことです。経済学的には、人は合理的に動くのだから、このことは当然の行動とみなされます。

ただ公的資金は限られた財源であるため、有効に活用できるように「制度」を変える必要があると教えてもらいましたが、正直なところまだしっくりきておりません・・・


つまり、この場合のモラル・ハザードとは、「雇用保険の失業給付を受けるとにより、失業が長期化していく(働かなくてもお金がもらえるのであれば、働く意欲も減退していく)」ということになるのでしょう。


日本では、モラル・ハザードを「倫理の欠如」として取られることが多いようです。巷でにぎわっている某知事さんの「違法ではないが不適切である」というものこの類と同じことなのでしょう。

今日の大学院の授業でも、「ルールに不備があるのは、ルールを作る側に問題がある」とおっしゃっておりました。

感情論では、研究は進みませんので、しっかりと理解をし、政策的なインプリケーションができるようにしたいと思います。







キャリKobaの一日一考

キャリアコンサルタントおよび経営者でもあるKobaが本やニュース等から得られたことを書かせていただいております。

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