本日も、樋口先生の「雇用と失業の経済学」から引用したいと思います。
P437に教育訓練の効果について触れております。
教育訓練プログラムの効果については、国により、また研究者により意見が割れており、効果が確認されたとする者と、ないとする者はほぼ半々である。アメリカ、ドイツ、イギリス、ノルウェー、スウェーデン、オーストリアについて行った分析のうち、効果があるとする研究は、教育訓練を受けることによって、雇用機会が増えたとか、給与が高まったとか指摘している。
例えばスウェーデンの失業者を分析対象とした労働市場訓練について、受講者と受講しなかった者を数年間にわたり追跡調査した結果によると、一年後の給与は受講した人の方が20%、二年後には30%高いという結果を得ている。また、オーストリアの労働市場訓練について分析した結果では、訓練を受けることによって失業を繰り返す人が減る効果のあることが指摘されている。
(中略)
政府が委託して、民間の機関が実施する教育訓練プログラムを受講させるシステムにしたほうが、有効であるといえよう(Betcherman and et al.[2000])。
同書は2001年に出版されておりますので、教育訓練プログラムを受講させる仕組みがまだ整っていない時代でありますが、このころから、職業訓練も民間に委託させた方が有効であると考えられていた。
ここで気になる点としては、民間に委託する職業訓練はどのような変遷・歴史があるか、また、訓練効果があるかどうかについては、研究のテーマになると思いますので、しっかりとやっていきたいと思います。
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