昨日に続き、岡本祐子先生の「アイデンティティ生涯発達論の射程」から引用いたします。
ご存知の方も多いと思いますが、岡本先生といえば「アイデンティティのラセン式発達モデル」となります。
『青年期、中年期の入り口、そして定年退職期には、いずれもアイデンティティの獲得、再獲得という共通のテーマが存在している。「私とは何か」「自分らしい生き方とは何か」というアイデンティティに対する問いは、成人期においても、人生の岐路に遭遇するごとに繰り返され、アイデンティティはラセン式に発達していくのではないであろうか。(P73)』
『私たちのアイデンティティは、その節目、節目で組み替えられ、再統合されていくのではないであろうか。(P74)』
『成人期の心の発達は、人生の岐路に遭遇するごとにこれまでの自己のあり方や生活構造の破綻や破れに直面し、一時的な混乱を経て、再び安定した自己のあり方が形成されていくという「危機→再体制化→再生」の繰り返しのプロセスとして理解されるのではないであろうか。(P76)』
『この「危機の認知→主体的模索→再体制化(再統合)」のプロセスの中で、アイデンティティはより高いレベル発達していく。(P77)』
『このアイデンティティの危機を認知する力とその危機に主体的に対応する力は、自我の強さや柔軟性が基盤にあることは言うまでもない。人生の岐路に立った時、いかに深く自分の内的変化に気づき、主体的に自分の生き方を考えることができるか、これが真にアイデンティティを達成していくための要であると思われる。(P77~78)』
アイデンティティは青年期に確立し、それ以後はそのアイデンティティを基盤に、大人として安定した人生を送るものと考えられてきましたが、そんなことはないだろうということだと思います。
私もちょうど今しがた46歳になりましたが、いまだに「私とは何か」「自分らしい生き方とは何か」と考え、また今後どのようになっていくのだろうかという不安の中で、日々過ごしながら成長しております。
大切なのは、危機を認知し、主体的に取り組むということですが、そう簡単にはいかない人の方が多いと思います。ただ、私が少しできているのは、このようなことを先に知っていたからだと思いますので、このようなモデルがあることを広く普及したいと思います。
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